PO/IPO

公募増資・売出の基本戦略について

企業が新株の発行を行ったり、大株主が大量の株式を売却を行ったりする時に、証券会社を通じて不特定多数の投資家に対して販売をすることを、公募増資・売出(Public Offering, PO)と呼ばれます。

上場企業が公募増資・売出を行うときは2,3週間ほど前に発表をします。
その時に価格決定日が決められ、価格決定日の終値からいくらかの割引をした価格で販売されます。
価格決定日後、1週間ぐらいで株式の引き渡しが行われます。

公募増資・売出においての取引の仕方は幾つかあるのですが、この記事でこのブログでの基本戦略をまとめておきます。

公募増資・売出の発表

公募増資・売出の実施は2,3週間前に発表されることが一般的です。
日本証券取引所の
適時開示情報閲覧サービス
で確認できます。
「新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ」といった表題になります。
「発行」「売出」などで検索すると見つけやすいです。

ここでは、日程、割引率、発行・売出枚数、現在の発行済投式総数などを確認します。

他に、証券会社やポータルサイトで、空売り可能銘柄であるかと信用売残状況、株価動向、単元株価を確認して、公募増資・売出の申込の検討にはいります。

公募増資・売出の発表時にすること

公募増資・売出が発表され、最初に確認するのは、空売り可能かどうかです。
空売りできない銘柄の場合は、引渡日以降にしか現物を売る事ができません。
このため、引渡日から一定期間は需給のバランスが悪化し、値崩れを起こしやすくなります。
空売りができる銘柄の場合は、引渡日の前にも売りを入れる事ができるので、需給バランスが比較的安定します。
このため、空売り可能銘柄のみの公募増資・売出への参加を基本方針にしています。

どの証券会社から申し込めるかという事も重要です。
公募増資・売出はどの証券会社からでも申し込めるわけではなく、主に幹事証券からのみになります。
しかも、幹事証券は、野村證券、大和証券、日興証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券、みずほ証券がほとんどを占めています。
大和証券、日興証券、みずほ証券は幹事案件のほとんどをネットからでも申込できますが、野村証券は、まだネットからの申し込みは限定的ですし、三菱UFJモルガンスタンレー証券はネット申込のためのシステム自体が出来ていません。
ネット証券ではSBI証券から時々申込できるようになってきました。

どの証券会社から申し込むかという事にも関連しますが、単元株価を確認します。
単元株価は配分を受けた株を売却するときのコストにかかわってきます。
単元株価があまりに低い場合には、増資・売出での割引額と売却にかかる手数料がほぼ同じになり、手数料負けの可能性が高くなります。
このため、単元株価が低い株の場合に公募増資・売出に申し込む場合は、手数料の安い証券会社からのみとなります。

発行・売出の枚数も多くないと証券会社から配分を貰えないので、確認事項になります。
IPOと同様に、店頭での配分が優先され、ネットからの申し込みは厳しいのが現状です。
それでも枚数が多い案件は配分がある確率も上がるので、諦めずに申込しています。
このブログでは5万枚以上を目途に記事として紹介します。

割引率の範囲も発表されますが、この範囲は殆ど変動もなく、しかも発表された範囲の最低の割引率で決まる事が殆どです。
割引率が2%と低くなるようなら、手数料の高い証券会社から単元株価の低い案件をネットから申し込むと手数料負けのリスクが高まる点には注意です。

以上の事を確認して、おおよその参加目途がたったら、日程を確認します。
後でも述べますが、公募増資期間に権利落ちがある場合は、高額逆日歩が発生する可能性を無視できなくなり、信用売りを入れてつなぐときに注意が必要になります。
また、公募増資では資金が必要となるので、PO期間に、他にIPO・PO、株主優待クロス取引、立会外分売などがある場合は、資金配分に気を配る必要があります。

価格決定日までにすること

公募増資・売出の発表後に確認することは、株価動向と信用売残状況です。

公募増資・売出が行われると需給の悪化や株式の希薄化のため、現物売りや信用売りがでやすくなります。
この事自体は悪い事ではなく、むしろ公募価格が下がり、価格決定日以降の売りが少なくなる事が予想されます。

ただし、信用売りが多くなると、高額逆日歩が発生したり、売禁になったりする可能性が高まるので、配分を受けた時につなぎ時のリスクが大きくなります。
特に、次の2ケースの場合で信用売残が多い場合は要注意です。

1つめは、現在の発行済投式総数に対して、発行・売出枚数が多い場合です。
発行・売出枚数が多いと希薄化やつなぎの理由で空売りする人が増えます。
これらの人たちは発行済株式総数の中から株を借りてくる必要があります。
ですから、発行済投式総数に対して、発行・売出枚数が多い場合は逆日歩が高くなったり、売禁になったりしやすくなります。
更に、以前まで株を貸してくれた大株主が株を売りに出し、空売りのための株を貸せなくなる売出案件は、より注意が必要です。

2つめは、価格決定日から引渡日までに権利日をまたぐ場合です。
権利行使したい株主は株を貸したくないでしょうし、配当落ちを狙って空売りを入れる人もいます。

信用売残が多い場合は、期待は持てませんが、逆日歩が発生しない一般信用売りが使えるかどうかもチェックして損は無いでしょう。
カブドットコム証券などで一般信用売りの取り扱いがあります。

一方で、高額逆日歩や売禁が起きにくいのは、信用買いが多い場合の他にも、日経平均株価採用銘柄や大型の東証一部銘柄の場合です。
これらはファンドや機関投資家の保有割合が多く、これらが比較的多くの株を貸してくれるためです。

以上のチェックのあと、期限までに抽選申込の判断をします。

価格決定から購入申し込みまでにすること

公募価格が決まったら、割引率と配分があるかないかを確認します。

割引率は空売り可能銘柄の場合は2~3%になる事が殆どです。

配分があるかないかは、価格決定日当日か翌日の朝には判明します。

価格決定日から2日間ほどが購入申込期間になります。
この期間は安定操作期間と呼ばれ、公募増資・売出を円滑に行うために、公募価格近辺で幹事証券会社が買い支えを行います。
理由としては、株価が公募価格以下になると、市場の株価で購入した方が安くなるため、公募での公募価格で購入申込する必要性がなくなるため、とあります。

この事は、安定操作期間に空売りを入れれば、逆日歩や手数料を無視すれば、市場株価と公募価格の差の分だけ儲けが出ることになり、比較的低リスクな取引を行うことができます。
もちろん、実際には、逆日歩や手数料を考慮して取引を行うことになります。

逆日歩を避けたい場合は、一般信用売りで空売りで空売りを入れるという可能性もありますが、一般信用売り残高は公募増資・売出が発表されて直ぐになくなってしまうことが殆どです。

安定操作期間までに空売りを入れない場合は、購入申込をして、引渡日を待つことになります。

引渡日までにすること

安定操作期間が終わり、引渡日を待つことになります。

安定操作期間に空売りを入れている場合は、毎日の逆日歩のチェックをします。
もし、高額逆日歩が連日続く事が予想されるのなら、空売りを外すことも検討します。
空売りを外すと、どうしても株価変動リスクにさらされることになります。

安定操作期間に空売りを入れていない場合は、この期間に空売りを入れることも1つの手になります。
例えば、安定操作期間から引渡日までに権利日がある時には、権利落ちの後に空売りを入れる戦略もあります。
ここで空売りを入れることで、この時点で株価変動リスクを無くすことができます。
(その代わりに、逆日歩リスクはありますが。)

ここまできたら、あとは引渡日を待つことになります。

引渡日にすること

引渡日の朝には、売却可能な形で証券口座に配分された株を見ることができます。

空売りを入れている場合は、現渡をします。
最後に、前日の逆日歩が判明してから損益を確定します。

空売りを入れていない場合は、任意のタイミングで売るか、そのまま保有する事になります。
売る場合は、現物売りをしても良いですし、新規売りを入れて、すぐに現渡しても良いです。
後者の方が手数料が安くなる場合が多いです。

取引のあと、最終損益を確認したら終了となります。

補足

(補足1)公募増資に関連する空売り規制について

今回の話題に関連する注意点として、
公募増資に関連する空売り規制
があります。
以下の取引は規制対象となっています。

増資公表後、新株の発行価格決定までの間に空売りを行った上で新株を取得する取引を禁止すること

このため、幹事でない証券会社でも該当銘柄の空売りができない事があります。
更には、価格決定日以降も空売りが出来ない事もあります。

(補足2)ネットから公募増資・売出に申込できる証券会社

ネットから公募増資・売出に申込できる主な証券会社を紹介します。

・日興証券
価格決定日の18時から19時ごろに抽選結果の発表があります。
抽選申込時に資金拘束されます。
当選した場合に購入申し込みしないとペナルティがあります。
信用取引の株式委託手数料が0円なのが大きなメリットです。

・大和証券
価格決定日の翌日朝に抽選結果の発表があります。
抽選申込時に余力が必要ですが、資金拘束はされません。
現物取引よりも信用取引の株式委託手数料が安いです。

・みずほ証券
価格決定日の当日21時頃に抽選結果の発表があります。
抽選申込時に余力が必要ですが、資金拘束はされません。

(その他)
・2018年1月にシステム変更が野村証券であったので今後のネット口座でのPOの取り扱いに期待できます。
SBI証券での取り扱いが増えてきています。
・カブドットコム証券では三菱UFJモルガンスタンレー証券の幹事案件の取り扱いがある事があります。

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